教員の皆様へ

臨床教育における総括的評価と形成的評価

臨床教育は、未来の医師たちが専門的知識とスキルを習得し、臨床現場で必要とされる判断力と対応力を養うための重要な段階です。このプロセスにおいて、総括的評価形成的評価はそれぞれ異なる目的で重要な役割を果たします。これら二つの評価方法は、相補的でありながらも、それぞれが独自の重要な役割を持っています。形成的評価による継続的なフィードバックと総括的評価による最終的な能力の確認は、医学生が臨床現場で必要とされる高い水準の医療提供者として成長するためには不可欠です。教員としてこれらの評価を適切に統合し、実施することが、医学教育の質をさらに向上させる鍵となります。

総括的評価:総合的な能力を評価

総括的評価は実習修了時に学習者が一定の基準や目標を達成しているかを判断するために実施されます。これには、例えば臨床実習後客観的臨床技能評価(post-CC OSCE)が含まれます。フィードバックを目的としたものではなく、学生が今後実際に患者ケアを行う際に求められる総合的な能力水準に達しているかを確認するための重要な基準となります。

形成的評価:学習のプロセスをサポート

形成的評価は、学修者の進捗をリアルタイムで把握し、必要に応じて調整や指導を加えることで、学修過程をサポートすることを目的としています。この評価は、フィードバックを通じて学習者が自己の理解度や技能を自覚し、改善点を明確にするために行われます。例えば、Mini-CEX(ミニ臨床評価演習)は、指導医が研修医の臨床スキルを直接観察し、その場で具体的なフィードバックを提供することで、形成的評価の一環として機能します。