センターについて

ごあいさつ

 日本の医学教育は大きな変革期を迎えています。医療・医学のグローバル化を踏まえ、日本の医学教育も世界基準を満たした教育内容が求められる時代に突入しております。

 そのような現実を踏まえ、医学教育・国際化推進センターでは京都大学の校風である「自由の学風」を大切にしつつも、世界の医学教育の趨勢に対応すべくカリキュラムの改革を推進して参りました。具体的には、現在、「コア診療科」での臨床実習について、「原則として1診療科あたり連続3週間以上(ただし、全人的な診療能力・態度を涵養する目的で、4週間以上連続して配属する診療科を1診療科以上)確保する」という2022年改訂医学教育モデル・コア・カリキュラムに対応し、さらにその中で「学生たちの自由を尊重しつつ、世界をリードする多くの国際的な医学研究者・医療人を育て輩出する」という京都大学の使命を踏まえたカリキュラムの策定を行っています。
 MD研究者育成プログラムや、一定期間、学内あるいは海外で研究に従事するマイコースプログラムなど、研究マインドを持ち世界の医学研究をリードする人材の育成を目指すプログラムの充実を進めてきました。そして、2018年9月には日本医学教育評価機構(JACME)から世界医学教育連盟(WFME)の国際基準を踏まえた医学教育プログラムであるとの認証を受け、さらに現在2024年に行われる2巡目の評価に向けて準備を進めています。
 組織体制としては、これまでの臨床教育部門、学部教育部門、国際化推進部門の3部門体制に加えて、学部教育から大学院教育まで一気通貫で連携して推進するために、2022年4月より大学院教育部門を設置しました。さらに、今後は卒後研修を担当する附属病院の総合臨床教育・研修センターとの連携も強めて参りたいと考えています。

 それ以上に、私たちは刻々と変化する時代に対応すべく、医学教育も進化し続ける必要があります。例えば、医学教育の理論、実践の多くは欧米諸国発であり、日本の国情、日本人の気風に即し、かつ世界基準を満たした優れた日本型の医学教育を編み出すことが不可欠です。また、医学・医療の急速な発展は、旧来の生物学的な視点からのみでは不十分で、工学、情報科学、数理科学や社会科学などの視点も含めた包括的な医学教育の確立が喫緊の課題となっています。

 そのような状況を踏まえ、京都大学医学部では看護師、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師などの国家資格を有する医療人を養成する学科である人間健康科学科を、国家資格を持つ医療従事者のみではなく、現代・未来の医療に不可欠な人材の育成を目指した学科に改組いたしました。

 医学教育・国際化推進センターはこれまでの医学科の教育を中核的に統括し、その成果を踏まえて京都大学発の医学教育研究を推進するとともに、人間健康科学科とタイアップした新しい医学に対応できる包括的な医学教育の確立、さらに、医学研究科所属の外国人教員との連携による国際化の推進など新たな取り組みに着手しております。

 これらの医学教育に対する革新的な取り組みを通して、京都大学から独創的な医療や研究成果を発信して日本・世界をリードする医学者・医学研究者を数多く輩出することを目指しております。このような本センターの取り組みに対して、医学教育に興味を持つ方々、医学部の学生さんなどから数多くのフィードバックをいただけることを願っております。

2024年2月

医学教育・国際化推進センター長

伊佐 正


京都大学医学教育・国際化推進センターは、京都大学医学部の理念と目標に掲げられた「医療の第一線で活躍する優秀な臨床医の養成」および「次世代の医学を担う医学研究者・教育者の養成」を実現するための核となるべき組織として平成16年に設置されました。私は初代教授である平出敦先生、小西靖彦先生に続き令和5年4月に着任いたしました。素晴らしい伝統ある本学の教育の要となる大切な組織を運営していくことの重責とともに、世界に羽ばたく素晴らしい資質をもつ学生の皆さんを支える存在となるやりがいの両方を感じながらこのミッションに取り組んでいます。

日本は世界にも類を見ない少子高齢社会に突入し、医療に求められる役割や直面する課題も社会の変化に伴い変わりつつあります。そして、COVID-19のパンデミックを例に出すまでもなく、我々はこれからも様々な新たな課題に直面するでしょう。しかし、それらの課題に立ち向かい、人々の健康や幸福への願いに対して医学・医療を通じて貢献したいという学生の皆さんの情熱は時代が変わっても揺るがない確かな力であり、それこそがこれからの時代を切り拓いていく原動力です。当センターは医学のScienceとArtの両面を重視し、探求心と患者さんへのあたたかさを兼ね備えたPhysician Scientistの育成を目指して学生、教職員、社会の皆様とともに歩んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

片岡 仁美

使命とヴィジョン

 医学教育・国際化推進センターには、三つの主要な使命があります。それは、学生の学習支援、持続的なカリキュラム改革、医学教育者の育成です。それぞれに以下の目標が掲げられます。

1.学習者(学生)の学習支援

  • 医師としてのプロフェッショナリズムの礎を築く学習環境の整備
  • 世界に羽ばたくPhysician Scientistの育成
  • 個々の資質を伸ばし、適切な支援を行うためのメンタリングとサポート
  • グローバルな活躍を可能とするための国際的交流機会の提供
  • 学生組織の支援

2.大学としてのカリキュラム改革のコーディネート

  • Science&Artを学ぶ教育改革
  • 継続可能かつ効果的な参加型臨床実習体制の構築
  • 卒前卒後の教育の連携と卒業生のフォローアップ
  • 学生評価法の開発および授業評価
  • 医学教育の国際化に伴う標準化
  • 学外医療機関・関連施設との協働
  • Faculty Development の促進

3.医学教育者の育成

  • Clinical Educatorの育成
  • 大学院学生の受け入れと、医学教育に関する研究
  • 医学教育に興味を持つ学部学生・研究生の受け入れ
  • Interprofessional Education の推進
  • 教育業績の可視化

これらの使命のもと、私たちは次のような“ビジョン2030”を持っています。

2030年に,私たちは…
  • 京都大学創立時からの信念である「自重自敬」に基づき、卒業後も自身を大切にしつつ確固たる軸を持ち、自らを律して行動しつつづける卒業生を輩出している
  • 医学の発展と患者アウトカム改善を念頭に、Science&Artを実践かつ指導する指導医が活躍し、学生との学びのサイクルが構築されている
  • それぞれの個性を活かし、互いに尊重し、高め合う組織を目指し、Diversity, Equity & Inclusionの実現に向けて進化し続けている