教育

理念と目標

 京都大学医学部は、医療の第一線で活躍する優秀な臨床医、医療専門職とともに、次世代の医学を担う医学研究者、教育者の養成をその責務とする。
 京都大学医学部が育てるのは、単に既存の知識を応用して医療にあたるだけでなく、病気など医学事象の背後にあるものを見抜き、自分の頭で考え、新たな知を創出できる人間、また、広く社会と人間行動を理解し病める人の感情を洞察できる人間、社会全体の健康をめざし高い倫理観を持って行動する人間である。
また、これを人類すべてに発信できる国際性豊かな人間を育てることも我々の使命である。

京都大学医学部附属病院の基本理念

京都大学医学部附属病院の基本理念は以下の通りです

1.患者中心の開かれた病院として,安全で質の高い医療を提供する.
2.新しい医療の開発と実践を通して,社会に貢献する.
3.専門家としての責任と使命を自覚し,人間性豊かな医療人を育成する.

卒前卒後の医学教育

 学部教育の段階から卒業後を見据え、卒前・卒後の一貫した医学教育を達成するため、医学教育国際化推進センターでは以下のような順序で授業を提供しています。

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早期体験実習Ⅰ(1年次)、早期体験実習Ⅱ(2年次)

規模の異なる様々な医療現場で医学生、薬学生、看護学生が多職種合同で実習をします。このように多職種合同で行うことにより相互理解がすすみ、医療現場における役割分担や連携に対する気付きが生まれています。

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マイコース・プログラム(4年次)

マイコース・プログラムでは各自が自主的に配属先を選び、中には海外で研究を行う学生もいますが、それぞれが将来の興味分野を視野に入れて配属先を選択しており、モチベーションは非常に高いです。

*海外留学情報の入手・報告方法はこちら(学内関係者限定の情報となります)

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臨床実習入門コース(4年次)

臨床実習入門コースにおいては医学生として臨床実習を行うにあたり、必要と思われる内容を提供していますが、その内容は「臨床診断推論」や「自分の臨床スキルを診断する」など、座学で学んできた臨床医学を実践できるレベルに高めるための工夫がされています。

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臨床実習(5年次~6年次)

大学病院以外にも多くの関連病院の協力下で、基本診療科・専門診療科ともに幅広い実習が行われています。特に、学生が実習先を自主選択するイレクティブ実習においては、診療参加型実習を行う機会であり、実習先の自己開拓や海外実習も積極的に行われています。

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臨床実習レビュー(臨床実習振り返り)(5年次・6年次)

基本診療科の臨床実習、専門診療科・イレクティブ実習の総括として、実習での事例や経験を振り返り、行動科学及び社会科学の観点からも多角的に深めています。

 学部教育においては上記のように医学教育国際化推進センターが卒後教育を意識した参加型学修を推進しています。さらに医学教育国際化推進センターの副センター長が附属病院内にある総合臨床教育・研修センターの研修管理委員長を務めるなど、積極的に連携を深めています。また、共用試験の実施においては臨床教育研修センターのシミュレーション機材を用いて学生に十分な修練を積ませるよう、医学教育センターと臨床研修センターの教員が協力してあたっています。このように医学教育国際化推進センターが附属病院の臨床研修センターと連携することで、シームレスな卒前卒後教育を可能としています。

 また、本学で行われている臨床実習は、医学部附属病院と学外の協力病院で行っています。学外実習先は規模や専門分野も多岐にわたりますが、大半が臨床研修指定病院であり、学生は卒業後働くと考えられる環境から多くの内容を学んでいます。また、協力病院の研修担当者の多くが京都大学医学部の臨床教授であり、年に一度「臨床教授等協議会」を開催して実習先の医療施設の代表者を招いて意見交換会を行っています。

全人的・総合的視点 プロフェッショナリズムの涵養

 学部教育においては、知識はもとより全人的・総合的視点の涵養も重要です。このような視点とプロフェッショナリズムは臨床医もしくは研究者として社会に貢献するために不可欠のものですが、単独の授業等で身につくものではありません。そのため、本学では当センターの担当する科目の他にも様々な分野の教職員の協力のもと、図のような垂直統合プログラムによってこういった能力を醸成しています。

 1年次の早期体験実習Ⅰでは入学間もない時期に臨床現場での実習を行い、2年次の早期体験実習Ⅱでは様々な分野で活躍する医師のキャリア・ヒストリーのインタビューを通じて医師像を明確にします。4年次の臨床実習入門および5・6年次の臨床実習レビューでは行動科学・社会医学・臨床医学を網羅的に配置した学びの機会を提供しており、全人的視点・総合的視点を培う特徴的なプログラムといえると考えております。また、1、4、5、6年次には薬学部、医学部人間健康科学科と連携したInterprofessional Education(IPE)を取り入れています。このような教育プログラムを、医学教育・国際化推進センターだけでなく、基礎医学、社会医学、行動科学、臨床医学および薬学部、医学部人間健康科学科など各分野の教員と連携して運用しています。